GX実現に向けた基本方針

GX(グリーントランスフォーメーション)は、2022年2月1日に、経産省産業技術環境局の「GXリーグ基本構想」で最初に提案されました。7月27日に、内閣総理大臣決済で第1回GX実行会議が開催されました。第1回GX実行会議の趣旨は、「産業革命以来の化石燃料中心の経済・社会・産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体の改革、すなわちGX(グリーントランスフォーメーション)を実行すべく、必要な施策を検討するため、GX実行会議を開催する」とされています。この「グリーントランスフォーメーション」は、日本独自の政策用語(造語)です。

実行会議の議長は内閣総理大臣とされ、副議長はGX実行推進大臣(経産大臣が兼務)と内閣官房長官で、構成員は外務大臣、財務大臣、環境大臣及び有識者13名が指名されています。有識者の顔ぶれは、実行会議での発言を聞く限り、ほとんどが原発推進論者です。

当初の「GXリーグ基本構想」では、企業の自主的排出量取引(自己宣言に基づく目標値の達成に向けた排出量取引)」なども検討するとされていました。しかし、8月24日の第2回実行会議で「エネルギーの安定供給の再構築」として、原子力について①再稼働への関係者の総力の結集、② 安全確保を大前提とした運転期間の延長など既設原発の最大限活用、③新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設、という原子力の大幅な政策の転換方針が示され、年内に具体的な政策づくりが指示されました 。そして、12月22日の第5回GX実行会議で示された「GX 実現に向けた基本方針(案) ~今後 10 年を見据えたロードマップ~」では「今後 GX を推進していく上でも、エネルギー安定供給の確保は大前提である」とし、「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用する」とされて、原発推進の政策が決定されました。

具体的には、① (2030年の)原子力比率20 ~ 22%のために原発再稼働、②「次世代革新炉」の開発・建設、③停止期間を差し引き運転期間を延長と、原子力政策の大きな転換が提案されました。有識者の顔ぶれや、第5回GX実行会議で示された上記のロードマップの原子力政策を見ると、GXは原発推進のために作られた仕組みであると言ってもよいと思います。

"エネルギー問題, エネルギー政策, 知る"の最新記事