会員 平川良信
環境先進国デンマーク視察報告
その6

使い捨てのカンより何回も使えるビン


  飲み物の容器に着目してみましょう。デンマークでは、何回も使えるビンが主流です。このことは、資源量やゴミの量、エネルギー消費を減らすことに貢献しています。
ビンはもともとはガラスビンだけでしたが、軽くて割れないカンに対抗するため、軽くて割れないペットボトルのビンを作りました。ペットボトルとは言っても、日本のような1回で使い捨てるものではなく、25回リユースできるものです。

 リユースを推進するため、デポジット制を採用しています。即ち、飲み物+ビン代を払って購入し、ビンを返却すれば、ビン代が戻ってくるのです。ビン代は、大型ペットボトルで約50円、小型ペットボトルで約25円です。これにより、ビンが捨てられることなく、メーカーに戻りリユースできる仕組みを創っているのです。

  ちなみに、日本では使い捨てのペットボトルの使用量がどんどん増えていますが、その理由の一つは、回収費用の多くが自治体の税金負担となっているため、その費用が価格に反映されていないからですね。その負担の大きさに悲鳴をあげている自治体が少なくないと聞いています(2006年の容器包装リサイクル法改正で、事業者が自治体の回収費用の一部を業者が負担することになりましたが、十分ではありません)。

 一方、例えば、リユースのビールビンの回収は、全てメーカーが負担し、その費用は価格に反映されています。税金は全く使っておりません。リユースでの回収は業界が負担し、リサイクルでの回収は自治体(税金)におんぶ。リユースするよりリサイクルした方が得になるシステムになっているのです。環境のことを考えたら、リサイクルするよりリユースした方が得になるシステムにしないといけないはずで、実際、デンマークではそうしています。
容器を作った時に税金をかけるので、同じ容器を何回も使った方が得になるような仕組みを作っているそうです。



25回リユースできるデンマークのペットボトル


 風力発電の推進でもそうですが、デンマークでは、環境をよくしようという目的を持ったら、その方が得になるような仕組みを作ります。環境に貢献した方が得な仕組みを作れば、環境改善はどんどん進みます。日本は、それに学ぶべきだと思います。

  ところで、日本のペットボトルは、リサイクルしているからいいじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃるかも知れませんね。一般に、リサイクルには多くのエネルギーを使います。それに伴って二酸化炭素が増え、地球温暖化を推進しますので、リサイクルよりもエネルギーを余り使わないリユースの方が望ましいのです。

  一般に、(1) リデュース(Reduce:原材料やゴミを減らす)、(2) リユース、(3) リサイクルの順に実施すべきと言われており、リサイクルは、リデュースもリユースもできない場合の最後の手段なんです。これは、日本の循環型社会形成推進基本法の精神であるはずなのですが、それを定めた日本が、それとは逆の仕組みになっているのですね。

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