「 COP3に向けての日本のNGOの活動について」

 


 

住野 節子
市民フォーラム2001・地球温暖化研究会
 

 

 1997年に日本で行われる予定の気候変動枠組条約第3回締約国会議は先進国の2000年以降の対策を強化する議定書を採択する場であり、ここでどれだけ実効生のある議定書が採択されるかは今後の地球環境にとって自然科学的にも政治的にも非常に重要である。そのためにはNGOが戦略に基づき国際政治や条約交渉に影響力を行使し、各国で政府や産業界等の他のセクターを説得するとともに、温暖化防止に向けた世論の高揚と各分野NGOの結集が必要である。また、これらの課題を国内外で協力して実現するためには海外のNGOとの協力、汚染物質や二酸化炭素の排出も急増している東アジア地域のNGOとの協力が欠かせない。

 

1. AANEAへの参加

 地球温暖化や越境大気汚染等の国境を超えた環境問題はもちろん、地域的大気汚染についても東アジア地域共通の課題であり、大気環境問題の早期解決を図り、各国の政策転換や政策研究を有利に進めるためにも当地域のNGOが共同して取り組むことが重要である。大気問題に取り組む日本のNGOはAANEAを重視し、積極的に対応していきたい。近い将来CAN東アジアとして、FCCCの交渉過程を担えるぐらいにAANEAのキャパシティーを向上させることを期待する。

 

2. COP3に向けたNGOの協力体制

 気候変動問題に取り組む日本のNGOのネットワークを形成し、共同で政策研究を行う傍ら、政府申し入れや意見交換などを共同で行っており、COP3に向けて戦略的ネットワークの強化を図っている。また、内外の世論を盛り上げ、様々な分野のNGOの結集を図り、世界のNGOとともに並行してNGO会議を開催するため、その基盤となる気候フォーラムを準備している。これらの体制づくりはCASA及び市民フォーラム2001地球温暖化研究会が、国内の気候変動問題に取り組むNGOと協力しながら準備を進めているところ。

 

 

3. COP3をにらんだNGO議定書案の検討

 

 COP3で実効性のある議定書を採択させるためには、政策と措置もさることながら、先進国に共通のCO2排出減の具体的ターゲットとタイムテーブルを議定書に盛り込むことが必要とされるところ。そこで条約交渉を有利に進めるべく、現在の条約交渉の情報収集を行い、情勢を勘案しながら今年の夏のCOP2への提出を目指して現在NGO議定書案を検討しているところ。

 

4. CSD4へのNGO政策提案とCOP3準備の呼びかけ

 

 UNCED(国連環境開発会議)のフォローアップを行うCSD(国連持続可能な開発委員会)は、毎年テーマを変えながらアジェンダ21の進捗状況を調査し、必要な政策をまとめているところ。今年のCSDは大気問題が大きな柱になる。この場で大気環境問題の解決に必要な政策を提案するとともに、NGO議定書案などのCOP3に向けた取り組みについて海外のNGOに提案し、討義を進め協力を呼びかけるべく現在準備を進めている。
 

「地球温暖化研究会」

 私たち地球温暖化研究会は1994年5月からスタートし、専門家・研究者・学生・サラリーマン・主婦など20代から60代まで、幅広い人達が参加しています。年に数回の合宿を開いて情勢分析や政策研究を進めるかたわら、他のNGOとも合同の勉強会を定期的に開催しています。また他のNGOとも協力しながら政府への政策提言、国際的については国連会議への参加などを通じて地球温暖化防止のための政策をより実効性あるものへ転換するための諸行動を試みてきました。さらに、いくつかの勉強会をもち、官僚、研究者、企業からの人も参加し、議論を深めています。3月に、今までの活動の集大成として、本を出版しました。