AANEA(東アジア大気行動ネットワーク)

第2回大阪会議総括

1.成果

全体的に会議は大成功をおさめた。その成果は以下の通りである。

a)第2回のカントリーレポートについて

昨年8月にソウルで実施した第1回目と比べると、内容は深くなり、首尾一貫性が増した。岩本智之氏(CASA)が事前に作成したフォーマットが、首尾一貫したカントリーレポートにしたのである。

b)気候変動問題の内容の広範囲化

COP3が日本で開催される予定になったことが、気候変動問題に取り組む緊急性を本会議で浸透させた。招待ゲストは以下の点で会議に貢献した。ヨランド・ベラスコ氏(フィリピン)は、政府とNGOの視点からこの問題について率直な見解を述べた。イフェレミ・ダウ氏(フィジー)は、AOSIS案に向けた行動を訴えた。サシャ・ミュラー・クレンナー氏(ドイツ)は、COP1でどのようにして彼とドイツがNGOの運営を成功させたのかを述べた。シンポジウムのパネリストのみの参加であったが、オソリン・アマルフー氏(モンゴル)の功労は大きかった。もし機会が与えられていれば、気候変動問題について多くの評価と意見を述べていただろう。
AANEAメンバーも以下の点で会議に貢献した。泉邦彦氏(CASA)は、この問題を詳細に説明し、大胆な行動を我々に訴えた。沖村理史氏(フォーラム2001地球温暖化問題研究会)は、気候変動問題における交渉の動向を説明し、先日締結されたAGBMの近況を報告した。住野節子氏と吉村純氏(両氏共に、フォーラム2001地球温暖化問題研究会)は、COP3に向けた日本の取組準備について述べ、反響が大きかったプロトコールの提言を行った。この提言はグリーンピース・ジャパンの長いコメントを含め、激しい論争を引き起こした。これは健全なことであり、大いに歓迎すべきことである。仮に、同じ意見を持った者だけが参加すれば、会議はつまらないものになるだろう。夕方には、プロトコールの提言についてより活発な意見交換を行う場が提供され、参加者のポジションは最終的には一致した。すなわち、この問題について一層の理解が深められ、その取組に向けてよりよい立場に立つことができたのである。

c)その他

AANEAの伝統であるが、今回、伊藤栄氏(全国公害患者の会連合会)、朴恵淑氏(三重大学)、キム・サン・テウ氏(韓国)が幅の広い問題を取り上げた。AANEAのメンバーはあらゆる社交の場でお互いに知り合うことができた。これは将来の生産的な協調行動の前提条件となるのである。また、来年の議題が議論され、提言された。私は公開シンポジウムの効果について評価できないが、少なくとも一般大衆に対して、関心を高めることができただろう。大阪のスタッフは優秀であり、些細な仕事も実行してくれた。そして、スッタフ全員がとてもすばらしく、暖かかった。

2.改善すべき点

 現在は鶏の卵には骨を見つけることができないが(中国の諺で、とくに批判すべき点がないという意味)、実行するには難しいが私が希望するリストを以下に示したい。  全体的に生産的な会議であった。そして、ホストとなった組織のもてなしが一層すばらしいものにしてくれた。今回の会議を振り返ると楽しい思い出ばかりがよみがえるだろう。

議長を務めたセッション1の要約

私は、3月15日16:00〜18:30に開かれたAANEAの活動とスケジュールに関してのセッションだけ議長を務めた。
まず、ジナ・イー氏(韓国)は、運営委員会で提案された来年のAANEAの活動計画の概観を述べた。それは、1997年に香港で開催される第3回AANEA会議、中国でのワークショップ、大気汚染測定、COP2、CSD4の5項目ある。
ゴードン・ナン氏(香港)は第3回AANEA会議と中国のワークショップに関しての運営委員会の提案を提示した。第3回AANEA会議は1997年1月に香港で開催する。中国のワークショップは今年の5月に準備会を開いて、10月に実施する。
天谷和夫氏(CAPS)はAANEAのメンバーで大気汚染観測を実施するようにCAPSを代表して提案した。天谷氏の口頭の説明は提案の実演であり、全員にプレゼントされた。
朴恵淑氏はCOP2に向けたワークプランを提示した。COP2に先立って、メンバー組織が各地域で公開ワークショップを組織することが提案された。COP2の前に、AANEA運営委員会を早急に開き、ジュネーブのCOP2参加者に1、2回のワークショップの開催を計画している。
岩本氏はCSD4に向けた計画を提示した。おそらく4月22日の週に、ニューヨークでのCSD4参加者を対象に、AANEAのワークショップを計画している。我々が手に入れたいメッセージは、AANEAとは何か、AANEAは何を行ってきたか、AANEAは何を計画しているのか、COP3ではAANEAに何を期待するのか、ということである。
結局、運営委員会の全参加者が提言し、質問、コメント、新たな提案が行われた。新たな提案はなかったが、説明に対していくつかの質問が出され、それに対して満足のいく回答がなされた。一つは、国別計画の3回目の評価を実施しようとするヨーロッパとアメリカのNGOの行動に関して、サッシャ氏がコメントしたものであり、氏はAANEAもこれに参加するように薦めた。
1996年3月29日
ジャウ・イン・ハン(CAN台湾) 
地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)
Last update 1998.3.13