気候変動対策・エネルギー政策について政党アンケート結果報告
2021.09.14 NPO法人地球環境市民会議(CASA)
衆議院議員が10月21日に任期満了を迎え選挙が行われます。
現在、第6次エネルギー基本計画案が発表されパブコメが募集されていますが、2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロをどのように実現していくのか、どのような脱炭素社会をめざすのかは、非常に重要な問題であり、国会でしっかりと議論を行い、政策を決定してくべきだと思います。
CASAでは、大阪に事務所のある政党に「脱炭素社会の実現、温暖化防止対策、原発・エネルギー問題」についての政策アンケートを実施し8月中に回答をいただきました。その結果を報告します。ぜひ、投票の際の判断の参考にしていただければと思います(掲載順は提出いただいた順にしています)。
回答をいただいた政党(回答の到着順)
公明党大阪府本部(以下表記は公明党)、自民党大阪府連(自民党)、れいわ新選組(れいわ)、社会民主党大阪府連合(社民党)、日本共産党大阪府委員会(共産党)、立憲民主党大阪府総支部連合会(立憲)日本維新の会政務調査会(維新の会)
【質問1】「2050年までの脱炭素社会の実現」について
地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律が国会で可決され、「2050年までの脱炭素社会の実現」が基本理念として明確に位置付けられました。貴党の「2050年までの脱炭素社会の実現」に向けての政策を示してください。
(回答)
公 |
公明党は「2050年を視野に、CO2排出実質ゼロ」をめざすことをいち早く提案。菅首相は、これを採用し、政府の国際公約として取り組むことを明言しました。今後は、脱炭素型ライフスタイルへの転換を促す施策や様々な取り組みを支援する自治体への交付金など、脱炭素を加速化させていきたい。さらに、こうした社会変革の取り組みで経済成長、雇用の拡大へとつなげていきたい。 |
自 |
民間企業の投資を促し、イノベーションを加速するとともに、国民のライフスタイルの変革や地域の脱炭素を進めるために、あらゆる施策に取り組んでまいります。例えば、2兆円のグリーンイノベーション基金や新技術を普及するための標準化、「改正温暖化対策推進法」に基づいた促進地域の設定による地域にも有益な再エネの導入促進、電動車の普及、充電設備・水素ステーション導入支援などを図ってまいります。 |
れ |
政府は「2050年までの脱炭素社会の実現」を理由に、原発の利用を打ち出していますが、私たちは「脱原発!グリーン・ニューディール」の実現を呼びかける。 原発を即時禁止した上で、2050年までに自然エネルギー(再生可能エネルギー)100%、温室効果ガス排出ゼロを目指します。 |
社 |
「省エネ、節エネ」の推進を第一に、化石燃料の使用を再生可能エネルギーに置き換えていく。石炭火力発電、原子力発電を2030年までに全廃し、再生可能エネルギーを50%以上とする。2050年という遠い未来より、まずは9年後の2030年をターゲットに脱炭素をすすめるべきと考えている。 |
共 |
2050年までに温室効果ガス排出の実質ゼロを実現するには、省エネの徹底と再生可能エネルギーの導入が要です。まず2030年度までに省エネでエネルギー消費を3~4割削減し、再エネ電力の割合を50%に引き上げます。石炭火力は2030年度までに計画的に停止し、当面、既存のガス火力の稼働で対処します。原発は再稼働をやめゼロに。2030年度までに温室効果ガス排出を90年比で50%以上削減し6割減を目指します。 |
立 |
立憲立憲は、気候危機対策を強力に推進し、省エネの徹底と再生可能エネルギーへのシフト、「自然エネルギー立国」を実現するため、速やかに原子力・化石燃料への依存を低減、省エネ・再生可能エネルギーへのシフトにより環境調和・分散ネットワーク型社会、脱炭素社会の実現を目指します。 具体的には、2030年における再生可能エネルギーによる発電割合50%程度と、2050年までのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成をめざします。 |
維 |
脱炭素社会は、既存の環境関連技術だけでは実現できない。革新的技術の開発を促進するためのしくみが必要である。開発のための新たなる投資の呼び込み、イノベーション・ファイナンスを促進する。また、不適切な規制によって、産業の流出を起こさないために規制緩和を進める。企業の温暖化ガス排出量を把握するためにオープンデータ化を促進するとともに、市場原理を活用した温暖化ガスの排出量規制を進める。 |
【質問2】2030年度の温室効果ガス排出削減目標
菅首相は、4月22日、2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度比で、46%削減することを表明し、「さらに50%の高みに向けて挑戦を続ける」と述べました。この目標の引き上げに対する貴党の評価を下記選択肢から選び、その理由を示してください。
①削減目標は適切である。
②削減目標は、引き上げるべきである。具体的な目標数値があればご記入ください( )
③その他( )
(回答)
公明党 |
自民党 |
れいわ |
社民党 |
共産党 |
立憲 |
維新の会 |
① |
① |
② |
② |
② |
② |
① |
(理由)
公 |
①公明党・地球温暖化対策推進本部では、本年5月28日、30年度のCO2排出量を13年度比で46%削減する政府の脱炭素化目標の達成に向けた提言を提出。日本が水素の社会実装に向けた取り組みで世界をリードしていることを踏まえ、「水素立国」として水素の導入拡大や供給コストの低減をめざすべきと強調。さらに、国民のCO2削減につながる行動にポイントを付与する「グリーンポイント制度」の創設も要請。 |
自 |
①この目標は、政府内での議論の積み重ねも踏まえつつ、2050年目標と整合的かつ野心的なものとして、世界の脱炭素化を牽引する観点から決断・設定されたものです。意欲的な目標設定をすることで官民の最大限の取り組みを引き出す意義があり、経済と環境の好循環の実現にもつながることから、この削減目標は適切であると考えています。 |
れ |
②2030年までの目標として、石炭火力は全廃し、発電量に占める自然エネルギーの比率を50%まで高めることを目指すべき。 |
社 |
②これまで「2013年比26%削減」に固執してきたことからすれば評価できるが、パリ協定が目指す平均気温上昇1.5℃への抑制のためには、なお十分とはいえない。社民党としては2030年までに「50%削減を目指し、60%に向けて挑戦する」ことが必要だと考えている。 |
共 |
②引き上げるべきである。(具体的目標数値:最低限50%以上) 菅政権が掲げる46%減(10年比換算で約42%減)という目標は、EU55%など先進国では50%削減が当たり前になっている中あまりに低すぎます。最低限、50%以上削減に、目標を引き上げるべきですし、1.5℃以内達成のために6割減をめざすべきです。 目標達成には石炭火力発電所の全廃が不可欠です。石炭火力に固執し、新増設や輸出支援計画に固執する菅政権の政策は世界の流れへの逆行です。石炭火力からの決別が急務です。
*9月 1 日に「気候危機を打開する日本共産党の 2030 戦略」が発表されました。 |
立 |
②55% 政府の46%削減目標は、気温上昇を1.5度未満におさえるためには不十分です。できるだけ早い時期にカーボンニュートラルを達成する必要があるとの認識のもと、2030年に55%以上の削減をめざします。 |
維 |
①2050年度カーボンニュートラルを実現するためには、2030年に適切に中間目標を設定することが達成のカギとなる。企業にとって温室効果ガスを大量排出してきた古い設備を更新することが、企業の競争力を高めるという理解を広めるとともに、更新を促進させるための中間目標を設定することが好ましい。再生可能エネルギーへの転換は、経済としていびつな構造にならないよう、市場原理に基づいて進めていく |
【質問3】エネルギー基本計画について
現在、第6次エネルギー基本計画が検討されています。2050年カーボンニュートラルへの道筋として2030年のエネルギーミックスにおける電源構成について、貴党の考えをお答えください。先日第6次エネルギー基本計画の素案が提示され、2030年のエネルギーミックス(再生可能エネルギー36~38%、原子力22~20%、天然ガス20%、石炭19%、石油2%、水素・アンモニア1%)が提案されています。この提案との比較で、各電源について下選択肢から選び、その理由を示してください。また具体的な電源構成比率があればご記入ください。
①原子力発電については、 増加、目標のまま、削減、廃止、その他
(回答)
公明党 |
自民党 |
れいわ |
社民党 |
共産党 |
立憲 |
維新の会 |
|
原子力 |
その他 |
目標のまま |
廃止 |
廃止 |
廃止 |
その他 |
削減 |
(理由)
公 |
(その他)本年4月と5月、公明党は、脱炭素化に関する提言を提出。こうした取り組みを受け、基本計画の改定において、わが党の提言してきた趣旨に沿ってまとめられつつあります。原子力発電については、将来的に原発に依存しない社会づくりを念頭に、原子力発電の依存度を着実に低減していくべきと考えます。 |
自 |
(目標のまま)原子力についてはCO2の排出削減に貢献する電源として、いかなる事情よりも安全性を最優先に、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進め、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組みます。 |
れ |
(廃止)地震国日本にとって、持続可能な経済の未来に、原発は不要である。直ちにこれを禁止する。実際のところ、2019年度実績で原発が供給したエネルギーは、電気の6.3%、一次エネルギー国内供給の2.9%に過ぎない 。また、2014年には原発稼働ゼロでエネルギーをまかなった経験もある。原発を即時禁止しても、エネルギー供給には特段の問題はない。電力供給は主に天然ガス火力をつなぎとしながら、2050年までに自然エネルギー100%へと移行してゆく。 |
社 |
(廃止)原子力は、万一事故が起きれば大量の放射能をまき散らす。また仮に事故が起きなかったとしても10万年後までの「核のゴミ」を残す。CO2を削減しても、代わりに放射能を生み出しては意味がない。大量生産・大量消費社会の典型である原子力と温暖化防止は両立しないと考えている。 |
共 |
(廃止)福島原発事故で原発の危険性と事故被害の深刻さが明らかとなり「原発安全神話」は完全に崩壊しました。原発事故はいまだ収束していません。故郷に戻れない人は8万人とも言われます。溶け落ちたデブリを取り出す見通しは立たず、放射性物質を含む汚染水が増え続けています。一方電力供給は、「稼働原発ゼロ」の2年間も賄えたのであり、再生可能エネルギーの大幅導入へ抜本的な政策転換が求められています。 |
立 |
(その他)10年を迎えた今も東京電力福島第一原発事故は収束せず、廃炉作業は困難を極めています。原子力発電の過酷事故のリスクは大きいため今後の原子力発電は国が責任を持って決定し、再生可能エネルギーより発電コストが高い原子力発電から、発電体系を変更すべきです。核廃棄物や使用済核燃料の最終処分方法も定まらず、事故がなくとも次世代に大きな付けを残し続ける原子力発電は、速やかな運転停止と廃炉決定を目指します。 |
維 |
(削減)福島第一原発の事故以降、原発に要求される安全レベルが各段に上がったため、従来技術の原発は、市場競争力がない。安全性が確保される原発の再稼働は否定しないが、再稼働は安全基準の明確な設定と責任の所在を明確にするための原発再稼働責任法の制定が必要である。温暖化ガスの排出が少ない小型高速炉、次世代原子炉などの新技術による原発は、将来性があり技術としても期待されるので、開発には力を入れる |
②石炭火力発電については、 増加、目標のまま、削減、廃止、その他
(回答)
公明党 |
自民党 |
れいわ |
社民党 |
共産党 |
立憲 |
維新の会 |
|
石炭火力 |
その他 |
目標のまま |
廃止 |
廃止 |
廃止 |
削減 |
削減 |
(理由)
公 |
(その他)本年4月、5月、公明党は、脱炭素化に関する提言を提出。こうした取り組みを受け、基本計画の改定において、わが党の提言してきた趣旨に沿ってまとめられつつあります。石炭火力発電について、非効率な石炭火力発電の段階的な削減を着実に進めるとともに、石炭火力発電の輸出を原則停止すべきあると考えます。 |
自 |
(目標のまま)安定供給を大前提に再エネの瞬時的、継続的な発電電力量の低下に対応可能な供給力を保つ形で設備容量を確保しつつ、できる限り火力発電比率を引き下げます。適切な火力のポートフォリオを維持しつつクリーンな天然ガスへ移行させ、高効率化・混焼の推進や非効率石炭火力のフェードアウトを進め火力の脱炭素化に取り組みます。排出削減対策のない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援は2021年末までに終了します。 |
れ |
(廃止)CO2 排出量の多い石炭火力発電所の新設は禁止し、2030年までに石炭・石油火力発電所の運転を終了する。 |
社 |
(廃止)石炭火力は温暖化問題の主犯ともいえ早期に廃止すべきだ。とくにCO2の排出が多い旧式の石炭火力は直ちに廃止し、比較的高率の高い設備も早期に廃止できるようにするべきだ。現在、主力の電源であることも踏まえ、比較的CO2排出量が少ない新型の設備については代替電源の開発を急ぎつつ段階的に削減、遅くとも2030までには廃止するべきと考えている。 |
共 |
(廃止)火力発電の中でも、二酸化炭素排出量が多い石炭火力発電は、地球温暖化対策に逆行するものであり、排出量削減目標達成に向けては建設計画の中止と、既存施設の計画的停止・廃止が急務です。 |
立 |
(削減)「脱炭素社会」への移行は大きな社会変革です。これまでの重厚長大型産業、大量消費大量生産の社会から、より付加価値の高い価値集約型産業、環境調和の資源循環社会へのシフトが必要であり、産業構造の変革、ライフスタイルを含めた社会変革を実現しなければなりません。したがって、できるだけ早期のカーボンニュートラルの達成という観点から、火力発電、特に石炭火力発電はできる限り抑制的であるべきです。そのため、石炭火力については、CO2排出量が多いことから、当面緊急時のバックアップ電源としての活用を基本とします。 |
維 |
(削減)日本は石炭火力に関する高い技術を有するが、石炭という化石燃料を使用する限り、脱炭素化を妨げる要因となる。石炭火力は、電力の安定供給を維持し、エネルギーバランスを調整しながら削減の方向で進めていくべきである。地政学的リスクが低い石炭火力は、エネルギー源の多様化が好ましいという側面を考えれば残すべき技術であるが、発電としてはフェードアウトさせていく。 |
③再エネ発電については、 増加、目標のまま、削減、廃止、その他
(回答)
公明党 |
自民党 |
れいわ |
社民党 |
共産党 |
立憲 |
維新の会 |
|
再エネ |
その他 |
目標のまま |
増加 |
増加 |
増加 |
増加 |
増加 |
(理由)
公 |
(その他)本年4月と5月、公明党は、脱炭素化に関する提言を提出。こうした取り組みを受け、基本計画の改定において、わが党の提言してきた趣旨に沿ってまとめられつつあります。再エネの主力電源化の早期実現が必要であり、再エネが優先的に送電線に接続できるような制度見直しの必要性など、具体的な施策を大胆に進めていくべきであると考えます。 |
自 |
(目標のまま)S+3Eを大前提に再エネの主力電源化を徹底します。再エネは脱炭素エネルギー源であるとともに、国内生産が可能でありエネルギー安全保障にも寄与する有望なエネルギー源です。再エネに最優先の原則で取り組み、国民負担の抑制と地域との共生を図りつつ最大限の導入を図ります。具体的には事業規律の強化、コスト低減・市場への統合、系統制約の克服、規制の合理化、技術開発の推進等の取り組みを進め、導入拡大を図ります。 |
れ |
(増加)自然エネルギーや省エネルギーについては、実証された既存技術の普及を最大限にはかるべきである。日本には、電力消費量の数倍のエネルギーをまかなうのに十分な資源ポテンシャルが存在する。これは環境省の調査報告書等でも明らかである 。私たちは2050年までに「自然エネルギー100%」の実現を目指す。 |
社 |
(増加)再エネ促進は温暖化対策のうえで最重要な電源。出力が変動しやすい再エネを普及するため、蓄電技術の開発、送電網の強化、エネルギー市場の安定的な運営などをすすめ、最大限促進すべき。ただし野放図な開発が環境被害につながるおそれもあることから、環境アセスメントの対象を拡大し、再エネの普及との両立のための制度整備も必要だ。 |
共 |
(増加)再エネ発電の推進は化石燃料の使用量を減らし二酸化炭素排出量を減らすだけでなく、地球に新たな経済循環を生み出し、地域活性化に貢献するものです。 太陽光・熱、小水力、風力、地熱、波力、畜産や林業などと結んだバイオマスなど、日本には豊かな再生エネルギーの潜在力があります。その活用を地元の中小企業と結びつけて進めれば、新たな仕事や雇用が生まれ、地域経済の活性化に貢献することができます。 |
立 |
(増加)再生可能エネルギーは気候変動対策に不可欠なエネルギーであり、再生可能エネルギーを中心とした発電へと速やかにシフトすべきです。地域の自然環境や文化・景観の保持・保全は当然のこと、地域社会の理解と利益を前提とした再生可能エネルギーの各業界の導入目標の達成をあと押しすることにより、再生可能エネルギーの電源構成に占める割合、2030 年50%、2050 年100%を実現します。 |
維 |
(増加)脱炭素化を進める上において、再生可能エネルギーによる発電は、出来る限り早く増やす。再生可能エネルギーによる電力は不安定であり、電力の質を低下させる懸念があるので、利用方法として は電力に限るものではなく、多様な利用方法の開発を進めていく。洋上を含む風力発電、地熱発電、バイオマス火力発電は、地方に設置する方が有利であり、電力の生産を地方創生の基本産業として育成していく。 |
④天然ガス発電については、 増加、目標のまま、削減、廃止、その他
(回答)
公明党 |
自民党 |
れいわ |
社民党 |
共産党 |
立憲 |
維新の会 |
|
天然ガス |
その他 |
目標のまま |
その他 |
削減 |
増加 |
増加 |
目標のまま |
(理由)
公 |
(その他)本年4月と5月、公明党は、脱炭素化に関する提言を提出。こうした取り組みを受け、基本計画の改定において、わが党の提言してきた趣旨に沿ってまとめられつつあります。天然ガス発電についても、脱炭素化の観点で、さらに検討を進めていくべきであると考えます。 |
自 |
(目標のまま)天然ガスは、石油と比べ地政学的にもリスクが低く、化石燃料の中で温室効果ガスの排出が最少で、 再エネの調整電源の中心的な役割を果たしています。また、将来的に燃焼時に CO2を排出しない水素・アンモニアの原料としての利用拡大が期待されます。価格変動リスクの抑制に努めつつ、メタン対策を含むバリューチェーン全体の脱炭素化を図るとともに、電源構成における比率は安定供給の確保を大前提に低減させます。 |
れ |
(その他)原子力発電、石炭火力を廃止し、2050年までに自然エネルギー100%へと移行してゆくつなぎとして、電力供給は主に天然ガス火力を位置づける。 |
社 |
(削減)天然ガス発電は比較的高率が高いことから、石炭火力の削減を優先する。天然ガス発電も、再エネの普及を受けて漸減させ、2050年までには廃止を目指すべきと考えている。 |
共 |
(増加)火力発電の燃料としては、同じ燃焼カロリーを得るのに、最新のLNG 火力が排出する二酸化炭素の量は石油より30%減、石炭より45%減となり、旧式の石炭火力に比べて、6割の排出量を削減することが可能です。火力発電における燃料を、石炭・石油からLNGへ切り替えていきます。 |
立 |
(増加)化石燃料の中では相対的にCO2の排出の少ないLNG火力を中心に再生可能エネルギーへの移行期を支えるエネルギーとして、当面は既存設備を有効に活用します。そのために、国として必要な設備投資・運転コストを支援します。 |
維 |
(目標のまま)天然ガス発電は、地球温暖化ガスの排出は低いがゼロではないので、発電効率の向上とともに進める。日本近海にあるメタンハイドレートの利用は、エネルギー安全保障としても重要である。CO2 の再利用などのメタネーション分野との技術的な関連を考えると、炭素を媒体としたエネルギーの流れとしての利用の検討も有用となる。CCS としてCO2閉じ込め技術との関連も考えていく。 |
⑤水素・アンモニア発電については、 増加、目標のまま、削減、廃止、その他
(回答)
公明党 |
自民党 |
れいわ |
社民党 |
共産党 |
立憲 |
維新の会 |
|
水素・アンモニア |
その他 |
目標のまま |
その他 |
その他 |
削減 |
その他 |
増加 |
(理由)
公 |
(その他)本年4月と5月、公明党は、脱炭素化に関する提言を提出。こうした取り組みを受け、基本計画の改定において、わが党の提言してきた趣旨に沿ってまとめられつつあります。日本が水素の社会実装に向けた取り組みで世界をリードしていることを踏まえ、「水素立国」として水素の導入拡大や供給コストの低減をめざすべきであると考えます。 |
自 |
(目標のまま)水素は電力分野だけでなく、運輸部門や電化が困難な産業部門等の脱炭素化も可能とするカーボンニュートラルに必要不可欠なエネルギーです。エネルギー安全保障にも寄与し将来的に中心的な役割が期待されるため水素を新たな資源として位置づけ、社会実装を加速します。水素・アンモニアの安定供給のため、海外からの安価な水素の活用、国内の資源を活用した水素製造基盤を確立するほか、需要サイドの水素利用も拡大させます。 |
れ |
(その他)国は、未確立の技術の開発を掲げて問題を先送りするべきではない。自然エネルギーや省エネルギーについては、実証された既存技術の普及をまずは最大限にはかるべきである |
社 |
(その他)水素・アンモニアの活用もカーボンフリーな電源として大いに期待し、実用化に向けた取り組みに注目している。ただしアンモニアが燃焼時に窒素酸化物(NOx)を排出すること、安全性、サプライチェーンの安定性、コスト等について、党として検証出来ておらず、現時点では中立である。 |
共 |
(削減)水素・アンモニアエネルギーは海外で生産をおこない、その際大量の二酸化炭素が発生するものです。結局、二酸化炭素排出を他国に押し付け、温室効果ガス削減にもつながりません。将来再エネから作ることもありますが、十分な再エネ電力が確保できるまでは、電力使用の方がロスがなく優先とすべきです。 |
立 |
(その他)燃料アンモニアの混焼技術など新技術開発を支援し、将来的に燃料アンモニア専焼、CCS、CCUなどのカーボンニュートラル実現に有効と思われる新技術の可能性を探ります。 |
維 |
(増加)水素の利用は積極的に進める。水素は主に二次エネルギーであるため、環境問題としては、一次エネルギーとして何を使って水素を作るかが重要である。化石燃料などを用いない「グリーン水素」の生産を増やすことがあるべき姿である。アンモニアについては、水素のキャリアとして重要である。エネルギーを大量消費する高温高圧を用いてアンモニアを製造しているが、高温高圧を用いないアンモニア製造法の実用化に力を入れていく。 |
【質問4】石炭火力発電所について
昨年7月に、国内の低効率の石炭火力発電所を2030年までに9割削減することを決定し、石炭火力の輸出要件の見直しを行いました。その後、発電効率の目標を43%に引き上げ、アンモニア混焼・水素混焼などの脱炭素化に向けた技術導入の加速化を後押しするとし、電力の安定供給に貢献する電力として化石燃料の脱炭素化が検討されています。この政策についての貴党の評価を、下記選択肢から選び、その理由を示してください。
①石炭火力発電は、安定供給に貢献する電源として必要であり、この政策に基づいて具体化を
はかる。
②石炭火力発電は安定供給に貢献する電源として必要。ただし、海外への輸出は全面禁止にす
る。
③CO2を排出する石炭火力発電は2030年までには、全廃にすべき。
④CO2を排出する石炭火力発電は2050年までには、全廃にすべき。
⑤その他( )
(回答)
公明党 |
自民党 |
れいわ |
社民党 |
共産党 |
立憲 |
維新の会 |
⑤ |
① |
③ |
(回答なし) |
③ |
④ |
⑤ |
(理由)
公 |
⑤非効率な石炭火力発電の段階的な削減を着実に進めるとともに、石炭火力発電の輸出を原則停止すべき。 ・本年4月と5月、公明党は、脱炭素化に関する提言を提出。再エネの主力電源化の早期実現を主張しました。石炭火力は発電量が不安定な再エネ拡大を進めるための「調整電源」とし、非効率な石炭火力発電の段階的な削減を着実に進めるとともに、石炭火力発電の輸出を原則停止すべきであると考えます。 |
自 |
①安定供給を大前提に再エネの瞬時的、継続的な発電電力量の低下に対応可能な供給力を保つ形で設 備容量を確保しつつ、できる限り電源構成に占める火力発電比率を引き下げます。適切な火力のポートフォリオを維持しつつクリーンな天然ガスへ移行させ、高効率化・混焼の推進や非効率石炭火力のフェードアウトを進め、火力の脱炭素化、水素・アンモニアの活用、CCU/カーボンリサイクル技術等を追求し、火力の脱炭素化に取り組みます。 |
れ |
③CO2 排出の多い石炭火力は全廃にすべき。未確立の技術に対しても、公的資金と民間資金を活用して官民共同で技術開発はおこなうべきであるが、問題を先送りするべきではない。自然エネルギーや省エネルギーについては、実証された既存技術の普及を最大限にはかるべきである。 |
共 |
③CO2を排出する石炭火力発電は2030年までには、全廃にすべき。 ・国連から、先進国は2030年までに石炭火力を全廃するよう求められています。 |
立 |
④石炭火力発電は、高効率な発電所であっても、その他の発電よりも多くのCO2を排出します。一度建設したら数十年運用され、その間ずっと多くのCO2を排出し続けることになります。したがって、2030年までの早い段階で緊急時以外の運転を停止し、2030年まではバックアップ電源として一定の発電施設を確保します。その後、再エネの導入に合わせて、バックアップ電源として確保されている発電施設について廃炉を進め、2050年には全廃とすべきです。 |
維 |
⑤石炭は世界的に埋蔵量が多い。自国で産出する石炭を火力発電に利用したいという国はある。積 極的に石炭火力発電の輸出を進めるということは問題である。しかし、温暖化ガスの排出が比較的 少ない日本の石炭火力の技術が求められているのであれば、日本が一律に輸出禁止とするのは適切 ではない。技術輸出の可否は個別に検討すべきである。 |
【質問5】原子力発電について
原子力発電所は、稼働後40年を超える美浜原発3号機が再稼働し、現在10基が再稼働しています。この政策についての貴党の評価を、下記選択肢から選び、その理由を示してください。
①安全が確認された原子力発電を今後も活用していく。
②原子力発電は再稼働を認めず、40年を経過した原子力発電は廃止する。
③原子力発電の再稼働を認めず、即時廃止とする。
④その他( )
(回答)
公明党 |
自民党 |
れいわ |
社民党 |
共産党 |
立憲 |
維新の会 |
④ |
① |
④ |
(回答なし) |
③ |
② |
① |
(理由)
公 |
④原子力発電の依存度を着実に低減しつつ、将来的に原発に依存しない社会づくりをめざすべき ・原発への依存度を徐々に減らして、将来的に「原発に依存しない社会・原発ゼロ社会」をめざすべき。原発の新設は認めません。また、運用については、規制委員会の厳しい基準と地元住民の理解を踏まえ、検討すべきと考えます。 |
自 |
①原子力は技術的に確立した脱炭素電源であり、2030年の新たな削減目標やエネルギーミックスの達成、2050年カーボンニュートラルの実現、安定的で安価なエネルギー確保のためにも重要です。そのため、原発への国民からの社会的信頼を確保し、安全確保を大前提に、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進めてまいります |
れ |
④地震国日本にとって、持続可能な経済の未来に、原発は不要である。直ちにこれを禁止する。実際のところ、2019年度実績で原発が供給したエネルギーは、電気の6.3%、一次エネルギー国内供給の2.9%に過ぎない。原発を即時禁止しても、エネルギー供給には特段の問題はない。電力供給は主に天然ガス火力をつなぎとしながら、2050年までに自然エネルギー100%へと移行してゆく。立地自治体については廃炉産業振興など「公正な移行」を国が支援。 |
共 |
③事故後「原則40年」とされた期間を超える美浜原発の再稼働は、老朽原発再稼働原則の形骸化、危険を野放しにすることにつながります。 古い原発は、耐震設計の基準地震動の引き上げによる耐震補強やケーブル火災対策のための難燃剤塗布などつぎはぎだらけです。核反応によって生じる中性子によって原子炉壁の金属がもろくなる「脆化」など深刻な問題もあります。ひとたび過酷事故が起これば、原発周辺だけでなく、琵琶湖も西日本一帯も汚染されかねません。 |
立 |
②原子力発電については、40年廃止の原則を堅持し、東京電力福島第一原子力発電所事故の検証や、実効性のある避難計画の策定、地元合意がないままの原子力発電所の再稼働は認めません |
維 |
①安全性が確認された原発は、活用すべきである。従来技術による原発は、他の発電方法と比べて市場競争力がないので従来型原発は新設しない。故障時にもポンプを回して外部から冷やし続ける必要がなく、安全性が高いとされる次世代原子炉が提案されており、今後とも原子力技術を有する国として技術を維持するために、この分野を産業として育成すべきである。 |
【質問6】衆議院選挙での公約の優先順位
衆議院議員選挙での選挙公約の中での、温暖化対策、脱炭素社会に向けての政策の位置付け(優先順位)について、貴党の見解をお答えください。
(回答)
公 |
公明党は「日本再生へ 新たな挑戦。」と掲げ、2021政策パンフレットを発表いたしました。そこでは、3つのアクションという形で具体的な取り組みを提示。一つ目のアクションで、「ポストコロナへ 経済と生活の再生を」として、脱炭素社会への公明党の挑戦をお示しさせていただきました。公明党として、大きな柱としてその実現へ取り組んでまいります。 https://www.komei.or.jp/wp-content/uploads/2021policy.pdf |
自 |
温暖化対策、脱炭素社会に関する取組みは、わが国のみならず人類共通の課題です。ワクチンの早期接種などの新型コロナウイルス感染症対策、国民の暮らしと経済を守るための施策、将来に向けた成長戦略や社会保障政策、子育て支援、人への投資などと並び、衆議院議員総選挙における公約の中でも重要なテーマの1つであることは間違いないと考えております。 |
れ |
「脱原発!グリーン・ニューディール」は、原発を即時に廃止し、石炭火力発電を段階的に廃止し、自然エネルギー100%の社会を2050年までに実現することを目指す、総合的な環境・経済政策パッケージである。20年以上のデフレや、格差・貧困の深刻化、労働環境の破壊、医療・福祉制度の弱体化、地方経済の衰退といった、日本が抱える様々な経済問題の解決を、圧倒的な財政支出と民間投資によって実現する政策の一環と考える。 |
社 |
温暖化対策・脱炭素社会の実現は、地球環境の維持、人類社会の存続のために極めて重要な課題として位置づけている。しかし、平和、自由、平等、共生など、それぞれ重要な課題であり、優先順位を付けることは困難である。 |
共 |
昨年12月の中央委員会総会で、「新しい日本をつくる5つの提案」の4つ目の柱として「地球規模の環境破壊を止め、自然と共生する経済社会をつくる」ことを提起。「地球規模での環境破壊を止めることは、人類の生存にとって急務」とし、質問1で回答した政策を掲げています。 5つの課題について優先順位はなく、暮らし優先、憲法と民主主義、自主自立の外交、地球環境、ジェンダー平等とどれも重要政策として位置付けています。 |
立 |
気候危機という世界共通の課題に取り組み持続可能な社会を実現すること、さらに、そのことを通じてわが国の経済と産業と地域社会とを再生していくことから、国として最重点で取り組むべき課題であると考えており、選挙公約にも重点項目のひとつとして掲げる予定です。 |
維 |
温暖化対策と脱炭素社会は、世界的な重要問題として位置付けており、重要度は高い。また、毎年大水害が発生しており、現代社会に与える影響は大きい。温暖化対策は、2050年という遠い未来の話ではなく、ごく身近な問題であると考えている。 |
【質問7】気候非常事態宣言について
世界では、気候非常事態を宣言する自治体が増加しています。日本でも国会で決議され、地方でも99の自治体が気候非常事態宣言を決議・公表しています(2021年7月現在)。自治体での気候非常事態宣言を決議することについて、貴党の見解を下記選択肢から選び、その理由を示してください。
①地方議員や首長にはたらきかけ、宣言の公表・決議を進める
②地方議員や首長の判断に委ねる
③気候非常事態宣言は必要ない。
④その他( )
(回答)
公明党 |
自民党 |
れいわ |
社民党 |
共産党 |
立憲 |
維新の会 |
① |
② |
④ |
① |
① |
① |
② |
(理由)
公 |
①公明党は、気候変動の克服に向け、超党派議員連盟の「気候非常事態宣言決議実現をめざす会」にも積極的に参加し、気候非常事態宣言を国会の総意として採択に貢献してきました。公明党の全国の議員ネットワークを活かし、各自治体の決議にも取り組んでまいりたいと考えています。 |
自 |
②衆議院・参議院で行われた気候非常事態宣言決議のとおり、「もはや地球温暖化問題は気候変動の域を超えて気候危機の状況に立ち至っている」との認識を世界と共有し、1日も早い脱炭素社会の実現に向けて、我が国の経済社会の再設計・取り組みの抜本的強化を行い、国を挙げて取り組みを実践していくことを決意しております。こうしたことも踏まえ、地方議員や首長に適切にご判断いただければと考えております。 |
れ |
④自治体での気候非常事態宣言の決議については、原発を即時禁止した上で、2050年までの自然エネルギー(再生可能エネルギー)100%にむけた後押しになる内容であれば、歓迎する。 |
社 |
①政府や国際社会の取り組みも、結局は各自治体や、個人、企業の取り組みの総和であり、自治体が意識的に温暖化問題に取り組むことは非常に重要であり意義がある。党としても、自治体議員や首長に働きかけて、宣言の公表・決議をすすめていきたい。 |
共 |
①気候変動問題は、人類の生存に関わる問題であると同時に、大規模な豪雨災害、猛暑による作物被害や海水温度上昇による不漁など、地域の暮らしや経済に密着した問題でもあります。とりわけ若者たち・子どもたちにとっては自らの未来に直結する問題です。各自治体が、その地域自身の課題として問題を提起し、議論し、地方の政策や施策として反映させるとともに、政府の政策を変えさせる上でも大きな意義を持つと考えます。 |
立 |
①2020年11月、臨時国会においても国会決議として気候非常事態宣言を決議しました。気候危機問題は、すべての人々に影響を及ぼす問題であることから、各自治体が積極的に行動していく、そのあと押しをしていくべきと考えます。 |
維 |
②日本維新の会は、国会議員、首長、地方議員は同じ立場にある。地方に関わる問題について、国会議員団が決めて、地方に従わせるということはしない。日本維新の会の基本的な考えに反するものでない限り、地方の判断を尊重する。 |
【アンケートの実施】
・7月末にアンケート用紙・フォームを配布(手渡し、郵送、メール)
・記入されたアンケート(データ)をメールにより回収(8月20日~30日)
・実施者
NPO法人地球環境市民会議(CASA)(担当:宮崎 学)
〒540-0026
大阪市中央区内本町2丁目1―19―470
電話:06-6310-6301(平日10:30~16:30)
メール:office@casa1988.or.jp