会員 平川良信
環境先進国デンマーク視察報告
その3

エネルギー自給をめざすサムソ島


地域暖房のお湯のタンク


麦わら地域暖房


 デンマークの、人口4300人の小さな島、サムソ島では、自然エネルギーによるエネルギーの自給を、2008年までに達成することをめざして、取組みを行っています。1MWの陸上風車を11基建設することにより、既に、電力の100%自給を達成しました。
  さらに洋上風車2MWを10基建てました。それにより、車などの輸送エネルギー使用分を相殺しています。将来は、その電力で水を電気分解し、水素を作り出し、それで車などを走らせるようにする計画です。

  デンマークは北欧のとても寒い国で、暖房は、温水による地域暖房を行っているところが多いところです。中でもコージェネ発電(発電+余熱利用による温水供給)による、余熱利用の地域暖房を行っているところが多いようですが、サムソ島では、既に電力供給は100%達成しているため、地域暖房専用の施設を作っています。我々は、麦わら燃焼による地域暖房、ウッドチップ燃焼、太陽熱温水による地域暖房の3つの施設を見学しました。
  暖房エネルギーについては、2003年に60%自給を達成しました。さらに自給率を高め、2008年までに100%をめざしています。

 デンマークのユトランド半島の私が訪問した地域では、太陽熱温水供給装置はありましたが、太陽光発電はありませんでした。発電コストが高いからだそうです。太陽光発電コストは風力発電コストの約3倍とか。風力発電は、2002年末世界で、2914万kWに達していますが、太陽光発電は98.2万kWに過ぎません。太陽光発電では、日本が頑張っており、シェアの半分近くは日本のメーカーです。風力発電と同じくらいに普及すれば、発電コストもかなり安くなると思いますが、残念ですね。


  さて、風力発電は風まかせ、太陽光発電はお天気まかせです。その変動はどう吸収するのでしょう。
 デンマークでは風力発電がベース電力になっており、不足分を火力発電でカバーしています。そのため、供給をコントロールしている電力会社は需要に対し1時間前には風力発電の発電量が把握できるITシステムを持っています。これはIT技術があって可能になることですね。

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